韓進重工業整理解雇問題の経過



2003年
キム・ジュイク韓進重工業影島造船所支部長、解雇組合員の復職を要求し129日間にわたり影島(ヨンド)造船所内T85号クレーンに籠城、絶望感の末に首を括り自殺。クァク・ジェギュ組合員が後を追って自殺。2人は合同葬儀。

2010年
12月15日 韓進重工業影島造船所(以下「会社」)は船舶受注不振(2年半以上にわたって受注なし)を理由に、生産職約1100名中400名の整理解雇(リストラ)を通告。

2011年
1月6日 明け方、全国民主労働組合総連盟(民主労総)釜山本部指導員のキム・ジンスク(51)、整理解雇抗議のため一人でT85号クレーンに登り籠城。操縦席は地上35m。

1月12日 会社、定年退職者28名・希望退職者など82人の計110名を除く290名が整理対象者であることを通知。

1月13日 整理解雇通知の翌日、会社は成果給として170億ウォンの株式配当金支給発表。(資本の最大のモラルハザード)

1月17日
この日より、キム・ジンスクへ1日100万ウォンの履行強制金が賦課。釜山地方裁判所関係者、「履行強制金を払わなければ賦課対象者の不動産をすぐに差し押さえ競売を申請することができる」。
その後会社は、労組相手に1億ウォンの損害賠償訴訟も。

2月14日 会社、職場封鎖を決定。最終的に希望退職を拒否した190名に対し、この日夜12時までに希望退職を申請しない者を整理解雇すると発表。
当日未明、ムン・チョルサン全国金属労働組合釜山梁山支部長、チェ・ギリョン金属労組韓進重工業支会長が、同造船所第2岸壁のクレーン操縦席(47m)に上がった。
労組側、「整理解雇対象者を含むすべての労組員が、会社の退去要請に応じず玉砕闘争をすることになった」と発表。

2月15日 会社、希望退職に応じなかった172名を整理解雇。
組合員約600名中、解雇された者の内170名は若い組合員。


5月末頃 市民の中から、「希望バス」が組織されていく。
ソン・ギョンドン詩人と「派遣美術家」(国家暴力の現場で活動する美術家たち),龍山惨事現場を守ったメディア活動家たちが発案し、双龍自動車とバレオ空調コリアおよび才能教育解雇労働者が合流。

6月11・12日 第1次希望バス(整理解雇のない世の中、非正規職のいない世の中のための希望バス)が全国各地から約700名が釜山へ向かう。
700人の市民たちが、韓進重工業の塀を越え、85号クレーンの下へ。俳優キム・ヨジンら6名を逮捕。

6月13日 警察、希望バスの2名に拘束令状を申請。裁判所「占拠労組員の退去」と仮処分申請の一部を認める。警察、会社敷地内で集会を行い写真・動画で身元が確認された11名の出頭要求。俳優キム・ヨジンについては、検討した上刑事処罰可否を決める予定と発表。キム・ヨジンに対する司法処理方針に、イ・ジョンヒ(民主労働党党首)「私も捕まえろ」と抗議。

6月17日 国会環境労働委員会がチョ・ナムホ韓進重工業会長を聴聞会証人として採択。その日に、チョ・ナムホ会長は海外に向け出国。

6月25日 フランスの日刊紙「ルモンド」、「韓国で整理解雇に対抗しクレーン上で6ヶ月間籠城」という題の記事。韓進重工業 初の女性溶接工であり解雇労働者でもあるキム・ジンスクと、希望バスの動向を紹介。

6月26日 双龍自動車家族たちの「希望列車85号」。韓進重工業労組員の家族たちに会いに行く。

6月27日 午後2時執行予定の「韓進重工業退去および仮処分執行」のため、警察力が配置。韓進重工業労組は午前10時、組合員生活が疲弊しており「全組合員がストライキを撤回し業務に復帰する」と宣言。キム・ジンスクや整理解雇労働者、強く抗議。退去執行官250人工場内へ進入、「ストライキ撤回反対「労組員60人、クレーンに綱でからだを縛る。キム・ジンスク、涙まじりに「皆さん、私たちを生かして下さい。私たちは生きたいです」と訴え。会社、85号クレーンの電気を遮断(暖房、明かり、携帯の充電がストップ)。夜10時頃、当日クレーン登った20名ほどの労働者の内13名がクレーンから降りる。
数日後 韓進重工業影島造船所はコンテナ船4隻(2億5000万ドル)と軍艦2隻を受注。

6月28日 アラブ系外信「アルジャジーラ」は、「ストライキは終わっていない」と報道。国内の多数言論が韓進重工業ストライキ事態の労使交渉妥結に焦点を合わせている中、ネチズンたちは「80年 光州と何が違うか」と注目。
会社は、午後2時頃から、コンテナを使い85号クレーンの前後を塞ぎ、85号クレーンの下では大きなエアーマットを設置するため屑鉄資材などを片づける。さらに、当日朝から食料・粥(キム・ジンスクは以前の断食闘争のため、粥しか食べられない)の差し入れも遮断。

6月29日 警察、希望バス参加費入金口座を捜査し、出頭要求書を送付したことが明らかになる。中には、都合により釜山に行っていない人も含まれる。一方、2次希望バスを準備中の企画団は、ソウル中区の民主労総で記者会見。「企業と政府が力を振りかざし降伏文書へのサインを強要した韓進重工業労使合意は源泉無効」とし「7月9日、全国から計185台の希望バスを出発する計画」と表明。

7月1日 双龍自動車解雇労働者約10人、「塩の花を探す千里の道」の旅に出る。歩いて7月9日に釜山到着の予定。
※ 「塩の花」は、汗で労働者の背中についた、白い汗のシミ。キム・ジンスクの著書に『塩花の木』がある。

7月5日 9日の2次希望バスを前に、ストライキ・籠城現場が一触即発の状況。会社、クレーン周辺に墜落防止用の大型ネットの設置を試み。キム・ジンスクは一時、クレーン欄干の外側へからだを乗り出し「飛び降りるぞ」と警告し、会社はネット設置を中断。その間、7人が警察に拘束され6人は現場で釈放。金属労組釜山梁山支部幹部チョン・某氏は公務執行妨害容疑で釜山の沙下警察署へ連行。

7月6日 韓進重工業影島造船所正門前で韓進重工業と協力業者職員700人余りが「外部勢力介入」を糾弾する集会を開く。

7月7日 アジアの代表的非政府機構であるアジア人権委(AHRC)は韓進重工業の大量整理解雇に抗議。釜山影島造船所85号クレーンで長期籠城中のキム・ジンスクに対する会社側の電気供給中断などと関連し声明を出し、韓国政府に緊急対応に出ることを促す。

7月8日 翌日に予定される2次希望バスに対し、警察は韓進重工業前の行進・集会 不許可。車壁で遮断する方針。
一方、2次希望バスは、ソウルをはじめ全国30数カ所から、希望のワゴン車・列車・自転車等で集まり、夕方7時、釜山駅で文化コンサートの予定。
ノーム・チョムスキー、「キム・ジンスク、あなたを支持する」とのメッセージを発表。
キム・ジンスクのツイッター文、「希望バスは多くのことをもたらすでしょう。愛、希望、連帯、これらすべてのものを込めた『人間に対する礼儀』。この道を礼儀知らずたちが阻もうとするでしょう。1万名が集まったことで、私たちはすでに勝ちました。最も平和な勝利! 大胆で楽しい祭り! 新しい歴史の主人公をときめく気持ちで待ちます」。

7月9・10日 7000名を超す市民たちで「第2次 整理解雇のない世の中、非正規職のいない世の中のための希望バス」実施。人数も700名から増加し、参加者の範囲も第1次より多様化。所属団体のない市民や政党の党員、労組活動家、大学生、医療関係者、宗教家、法律専門家だけでなく、障害者、性的少数者、再開発で立ち退きを迫られた人々、移住労働者、青少年など、社会的弱者も大挙参加。双竜自動車、柳成企業、ヴァレオ空調コリアなどの長期闘争労働者も9日から2日間、釜山に滞在。
警察、影島大橋を封鎖。参加者に対し新型の催涙液を使用、イ・ジョンヒ民主労働党委員長も催涙液を直撃。

7月13日 シム・サンジョン、ノ・フェチャン進歩新党常任顧問、キム・ヨンフン民主労総委員長が、ソウル大漢門前で韓進重工業整理解雇撤回要求と警察強硬鎮圧を糾弾してハンスト座り込みを開始。ノ顧問は「韓進重工業事態を大統領が自ら出て行き解決せよ」と要求。キム委員長も「韓進重工業の整理解雇と柳成企業の職場閉鎖・労組弾圧が続いており、進歩政党に1万ウォンを後援したという理由で教師と公務員が政治弾圧にあっている」とし、「1000人希望ハンスト団」を提案。10人の韓進重工業解雇労働者も合流。

7月14日 希望のバス企画団、ソウル大漢門前で記者会見。「3次希望バスは、7月30日に釜山へ向け出発」と発表。さらに、「希望のバスは韓進重工業を越え、外国為替危機以後に解雇されてきた数百万の整理解雇労働者たちの痛みと、900万非正規職の絶望に終止符を打つために走るバス」、「資本の利潤だけのために全てのものが商品化・道具化される地獄のような現実を拒否し、私たちがなくしたすべての人間的尊厳を取り戻そうと思う熱望のバスであり、連帯の価値を新しく打ち立て共同体文化を正すための良心と連帯のバス」と表明。
キム・ジンスクがツイッターに14日「救助メッセージ」。「85号クレーン下の副資材を清掃し、私設特攻隊を84クレーン号に動員し接近作戦」を行うようだと。

7月15日 約70ヶ国の労働市民団体、李明博大統領宛に抗議書簡を送り「韓進重工業・柳成企業事態」の解決を促す。金属労組は「韓進重工業整理解雇と職場閉鎖のために工場に戻れない柳成企業の労働弾圧状況」を全世界の労働団体に知らせ、2日間で17ヶ国の労働団体と70ヶ国2091人の市民が、韓国の労働現実を憂慮する内容の抗議書簡を送ってきたと発表。

7月18日 金属労組は、現代モービス蔚山、梅岩洞(メアムドン)工場前で現代・起亜・双龍車と韓国GM、キリュン電子などの社内下請け非正規職労働者70人余りが集まった中で「非正規職のない工場作り 希望バス」発隊式を開き、23日まで5泊6日の日程で全国巡回に出発した。キム・ヒョンウ金属労組副委員長は発隊式で「全国巡回闘争を通じ非正規職の差別と悲しみを知らせ、最高裁判決の履行と非正規職の正規職化を要求する」と明らかにした。

7月22日 釜山市と警察が3次希望バスを阻止するために組織的に介入。民主労働党釜山市党は記者会見を行い、影島区の自治行政課職員2人が15日と21日、11ある住民自治センター(町役場)行政担当と洞長に送った2件の電子メールを公開。「30日に予定された3次希望バスに反対する垂れ幕の文案を送るので参考にして個性的に製作せよ」、「送った嘆願書を見て洞毎に100人以上の署名を集め22日まで提出せよ」 という内容。影島区の各所には影島区が送った文案を書き入れた横断幕が住民自治委員会の名前で掲げられている。さらに釜山地方警察庁は、韓進重工業事態の解決を促すために全国から運行された希望バスの運転手65人に電話をかけ、契約者・契約期間・運賃・出発地域など契約内容を問い質したと発表された。警察はバス会社と希望バス企画団を結びつけた観光会社の職員には住民登録番号など個人情報を要求した。警察から電話を受けた一部バス運転手は負担を感じ、希望バスの運転を拒否する意思を明らかにするなど警察による調査が「3次希望バス」に対する圧力・負担として作用している。

7月24日 韓進重の事態解決要求が拡散。「韓進労働者 希望の自転車」参加者が、ソウル中区太平路の徳寿宮大漢門前で韓進重工業事態の解決を要求し12日間断食中のノ・フェチャン、シム・サンジョン進歩新党常任顧問の激励を受け、韓進重工業がある釜山に向け出発。

7月25日 英国の公営放送BBCがキム・ジンスクの高空籠城200日目をむかえたこの日、高空闘争を詳しく報道。「風が吹く造船所上の35mクレーンの上で、彼女はバケツをトイレ代わりにして韓国の最も有名な会社の一つを相手に孤独な抵抗を行っている」。

7月26日 釜山地方裁判所ハン・ヨンピョ令状専門担当部長判事は、集会と示威に関する法律違反容疑などで「希望のバス」を企画したソン・ギョンドン詩人の逮捕令状を発行した。ソン氏は7月9日夕7時頃、2次希望バス参加者7000人余りが釜山駅広場で音楽会を開いた後、影島造船所約700m手前の蓬莱交差点前で翌日午後3時まで道路を占拠して行った集会を主導した疑惑を受けている。また、6月11~12日の1次希望バス参加者約400人が影島造船所の塀を乗り越えて入って開いた集会を主導した容疑も受けている。

7月27日 キム・ムソン ハンナラ党議員、キム・ジンスクについて「クレーンから引きずり下ろすべき」と発言。これは、「174億ウォンを越える配当金を分け合う会社で整理解雇をするとは話にならない」(キム・ファンシク国務総理)、「政府も一抹の責任を感じなければならない」(パク・ジェワン企画財政部長官)等、会社と政府の責任論が出てくるのとは質を異にする突出的発言。韓進重がある釜山・影島が地方区であるハンナラ党キム・ヒョンオ議員も「原因は社主の不道徳で放漫な経営」と明らかにした経緯がある。

ノーム・チョムスキー米国、マサチューセッツ工大(MIT)名誉教授をはじめとする批判的知識人12人は、「韓国の労働者と連帯する勇気ある高貴な行動と、平和と正義を支援する運動に支持を表明する」 として 「皆さんの自発的運動が政府およびいかなる勢力によっても妨害されないことを希望する」 と表明。進歩的労働理論家であるホルゴ ハイデ ドイツ社会経済行為研究所長も「衷心から韓進労働者の闘争を支持する」。チョン・グァンシン台湾交通大教授は「闘争を通じて政治的民主主義を勝ち取った国として名声が高い韓国が、韓進の怪しい整理解雇を黙認していることにより急速に信頼を失っている」とし「韓国政府が問題解決に乗り出し、韓進はキム・ジンスク氏とその同僚が職場に復帰するよう具体的行動を取れ」と要求。中国詩歌研究の権威者であるリ・ポン中央財経大教授も「生存権と正義のために戦う抵抗と闘争が満足できる解決に至ることを希望する」と話した。ウゴ チャベス ベネズエラ大統領の政策顧問を歴任したマイケル レボウィツ カナダ サイモンフレーザー大客員教授とチャンイブ ポルテン フランス ナンシー大教授、ジョジェ アウシデス サントス ブラジル チュイス ジ プラ大教授、アルヌルポ アルテアガ ガルシア メキシコ大教授、尹健次(ユン・ゴンチャ)日本、神奈川大教授らも支持の意志を表明。

7月28日 過去10年間に高空籠城を行った労働者・撤去民・環境運動家が、クレーン籠城204日目を迎えたキム・ジンスクに手紙を書く。「必ず生きて降りてきなさい」と書き、「空から撒いた希望の種を地上で一緒に刈り取ろう」と綴った。この方々が登ったのは、現代自動車蔚山工場25m鉄塔、ソウル良才洞の現代起亜車グループ本社前の130mタワークレーン、GM大宇自動車の富平工場南門30mCCTV鉄塔、4大河川事業現場の梨浦堰30m橋脚、キリュン電子警備室屋上など。

7月29日 韓進重工業整理解雇問題を解決する鍵を握っているチョ・ナモ会長は、海外出張44日目。いつ帰ってくるのかあてもない。この日ハンナラ党は、民主党が要求してきたチョ・ナモ会長の韓進重工業事態に関する国会聴聞会を受け入れる意向があると表明。しかし、ハンナラ党は民主党側に「キム・ジンスクほか5人の不法高空籠城者の退去を積極的に努力し貫徹させること」を前提条件にした。

7月30・31日 「第3次 整理解雇のない世の中、非正規職のいない世の中のための希望バス」実施。午前にバス約50台がソウル市民約2000人を乗せ釜山に出発。釜山では警察と一部保守団体が影島大橋を検問し、希望のバス市民たちの影島区進入を遮断したが、市民は2次希望バス行事の時のような道路行進を選ばず、各自が個別的な方式で85号クレーンに近い青鶴聖堂付近に集まる。路上で文化祭を開き韓進重工業クレーン籠城のキム・ジンスクと労組員たちを応援。

7月31日 キム・ジンスク、ハンギョレとのインタビュー
「1997年12月に国際通貨基金(IMF)から救済金融を受けて以来、この14年間に整理解雇が相次ぎ 非正規職雇用が乱発されている。 財界と使用者側は整理解雇という名目で不当解雇を日常的に行いながら、その一方で社内下請け・委託・派遣など非正規職雇用ばかりを拡大してきた。こうした現実を変える契機を作り出すまでは、決してクレーンから降りて行かない。韓進重工業整理解雇問題は個別企業の問題を越えている。整理解雇に対し労働界はまともに闘って勝ったことがない。今回だけはどうしても勝ちたい。 整理解雇を何のためらいもなく乱発する現実をそっくりあらわにして見せてくれた事件が韓進重工業の大量整理解雇だからだ」。

8月3日 野党5党代表が、国会貴賓食堂で会談を持ち、韓進重工業問題解決のために政策協議会を構成することにするなど全面協力を決める。「キム・ジンスク民主労総指導委員をはじめとする解雇労働者らの生命を守るために、早期に韓進重工業問題など緊急労働懸案を解決することをこの席を通じて宣言する」と表明。「チョ・ナムホ韓進重工業会長を国会聴聞会に出席させるためにすべての努力をつくす」とした。野党5党は今後、整理解雇問題を解決するために勤労基準法改正など代案立法を用意し、共同国政監査を推進することにした。野党5党政策協議会では、最近政治後援支援金に対する検察捜査で物議をかもしている教師・公務員たちの政治基本権拡大方案も共に議論することにした。

8月8日 第4次希望バスは、ソウルで8月27日から1泊2日。希望バスを企画した詩人 ソン・ギョンドンが表明。この時に、韓進重整理解雇に関する政府回答を要求。

8月9日 国会聴聞会出席圧力の中、外国に長期間滞留してきたチョ・ナムホ韓進重工業会長が帰国したことが判明。

8月10日 午前、釜山市庁舎でチョ・ナムホ韓進重工業会長記者会見。整理解雇撤回について明白に拒否し、「人的構造調整は避けられない選択」「公聴会出席は国会の決定を尊重」を表明。長期の海外出張について釈明。労使合意の遵守、経営正常化を前提とした希望退職者再雇用(3年以内)、希望退職者及び地域住民の支援方策(希望退職者に対しては子供2人まで大学卒業時までの学資金全額支援)を提案。国会聴聞会については、キム・ジンスク指導員が聴聞会に出てきてはじめて、自身も聴聞会に出て行く立場と表明。
これに対しキム・ジンスクは、「チョ・ナムホ会長の帰国を歓迎する。工場正常化をするなら整理解雇者をまず復帰させなければならない。3年間わざと受注を回避した状態で、3年後に整理解雇者を再入社させるという発言には真実性がない。双龍自動車も(似た約束をしたが)約束を破った。整理解雇を撤回しなければ降りて行かない」と断固として話した。
野党5党代表は、「チョ会長はいかなる条件もなしに聴聞会に出席しなければならない」と、チョ会長が2ヶ月以上海外に留まり、先の聴聞会に参加しなかったことを批判。野党5党は「政権の庇護なしには不可能な事と確信している。全面的な財閥改革に乗り出す」と述べた。

8月18日 チョ・ナムホ韓進重工業会長、国会聴聞会に出席。整理解雇の撤回意思がないことを明確にした。与野党の議員が「不道徳な経営」として猛攻を浴びせたが、彼は「謝罪申し上げる」として頭を下げるだけだった。
チャン・ジェウォン ハンナラ党議員(釜山、沙上区)は「韓進重工業は2007年から2009年まで当期純利益が1433億で、2010年一年だけが517億の赤字だった」として「会社債の等級もAで流動資産も1兆ウォンを持っているが2年間に3千人の労働者を整理解雇するのが正当なのか」と問い詰めた。
イ・ミギョン民主党議員は「(整理解雇の原因になった)会社の危機はチョ・ナムホ会長がでっちあげた危機」として影島造船所が船舶受注を一件も受けられない間にフィリピン スビック造船所だけで31件を受注した理由に対し集中的に追及した。
ホン・ヨンピョ民主党議員は「韓進の労働者は、同じ業界より30%少ない賃金で仕事をし、営業利益を残したが、チョ会長は数百億台の富を増やしながら労働者には血の涙を流させた」と指摘した。
チョ会長は「会社が早く正常化すれば(3年後以後の再雇用の約束を)操り上げる用意がある」と話した。
ハンナラ党は経営陣の不道徳を叱責しながらも、キム・ジンスク指導委員と「希望のバス」に対して「葛藤を助長している」と非難した。

8月21日 「韓進重工業 解決法 摸索」時局大会が約5000人集まり1泊2日で開催される。ソウル広場で約5000人が集まり1泊2日。「反労働政策 廃棄」を要求。

8月24日 クリスティアン ポルプ ドイツ大統領が来る27日ソウルで開かれる「希望のバス」行事に合わせ、韓進重工業闘争を支持するという内容の連帯書簡を送ってきた。ドイツ留学生の手紙返事として、「人権強化に大きな成果を祈願」との内容。

8月27・28日 ソウルで「第3次 整理解雇のない世の中、非正規職のいない世の中のための希望バス」実施。5000人が参加。ムン・ジョンヒョン「済州(のカンジョンマウル)のために希望の飛行機を」、キム・ジンスク(電話で)「ビクともしなかったクレーンに少しずつ変化が…」と発言。日本の市民労組「なかまユニオン」会員5人が希望のバス行事に訪れた。井手窪啓一委員長は「一般市民がこのように韓進重工業解雇撤回のために戦っていることが本当にすばらしい。希望のバスは日本にも大きな影響を及ぼしている」と話し市民たちを励ました。

9月3日 故・全泰一(チョン・テイル)の母、李小仙(イ・ソソン)氏ご逝去。7月初め、「その人がどんな思いで上がったのかを皆が知って欲しい。キム・ジンスクが死ぬのではと思うと心配で眠れません。どうか死なずに降りてきて一緒にやりましょう。降りてきて下さい。私の願いです。ジンスク氏、私の話を聞いて降りて来てください」と、足がとても痛く釜山にはいけなかった彼女は映像で訴えた。

9月6日 釜山韓進重工業影島造船所前で民主労総釜山地域本部が開いた「労働者のオモニ イ・ソソン追慕の夕」行事で、韓進重工業解雇者の家族がチョン・テイル烈士とイ・ソソン氏の顔が刷られた版画の絵を持ち解雇撤回を要求した。「キム・ジンスクは何があっても死んではいけない。死ねば何もできないから必ず降りてきて共に戦わなければいけない」と、「労働者のオモニ」イ・ソソン(82)氏の遺言にはキム・ジンスクの名前があった。遺言を伝え聞いた市民はイ氏の遺影だけでもキム指導委員に会わせようと、夕方、釜山韓進重工業影島造船所を訪ねた。しかし韓進重工業はついにイ氏の最期の道さえも外注警備を動員して遮った。「オモニが2回も電話をかけてきて「いらっしゃる」と言われたが私が引き止めました。必ずクレーンから降りて行ってお目にかかりますと言ったのに…」とキム・ジンスク。

9月21日 韓進重工業労組が交渉を全面中断し新執行部を選ぶ選挙体制に局面を切り替える。特に去る6月27日、労使履行合意書を締結した現執行部が再び出馬する予定であり結果が注目される。新執行部選挙は6月27日に署名した労使履行合意書に対する賛否投票の性格が濃厚だ。労使履行合意書を締結する時、事実上 整理解雇を受け入れた現執行部を代表する候補が当選すれば労使交渉はすぐにも進行されると予想される。だが、整理解雇自体に反対する候補者が当選すれば、労使交渉が再び始まるためには相当な時間がかかることも予想される。労組が整理解雇自体を受け入れないためだ。その上、6月27日に作成された労使履行合意書の無効を宣言することもありうる。誰が当選するかにより希望のバスに対する労組の態度が変わると予想される。

10月7日 国会環境労働委員会が、韓進重工業整理解雇事態と関連し「1年後再雇用」等の内容を盛り込んだ勧告案を提示し、チョ・ナモ韓進重工業会長がこれを受け入れた。環境労働委の与野党議員はこの日、雇用労働部国政監査で証人として出席したチョ会長と3時間近く非公開会議を開き事態解決方案を模索した結果、勧告案を用意した。勧告案には△韓進重工業が解雇労働者94人をこの日から1年後に再雇用 △その間、該当労働者の生計維持のために2000万ウォンの生計費を支援する という内容を盛り込んだ。

10月8・9日 9日午前11時、5次希望のバスも警察の封鎖によりキム・ジンスクに結局会えなかった。しかし少数の参加者たちは9日朝、影島造船所85号クレーン前で手を振り連帯の意を伝え、キム指導委員も手を振って応えた。希望のバスは警察の強硬対応に対しても平和基調を維持したまま9日午前、釜山駅前広場で終えた。

10月9日 1年以内の再雇用勧告案に、キム・ジンスク「解雇者の決定に従う」、「チョ・ナモ会長の環境労働委勧告受け入れは闘争の成果。ウォール街デモ隊に電話で激励「最後まで共にがんばろう」。「国会環境労働委員会勧告案に対して韓進重工業整理解雇撤回闘争委員会が公式立場を整理すれば従う」という立場は、キム氏自身の意見と違っても無条件に従うということ。闘争委員会が賛否投票で意志を決めれば、その日で韓進重工業影島造船所内の船舶クレーンで続けている籠城を終わらせるということを意味する。

10月12日 労使双方3名からなる交渉チームは、チョ会長とパク委員長が交渉に積極的に臨むことに合意した11日夜10時頃から1時間、釜山韓進重工業影島造船所会議室で交渉を行った後、12日午前に交渉を再開する予定だったが交渉は行われなかった。会社側が「キム・ジンスク指導委員が先に船舶クレーンから降りること」、14日に予定された金属労組韓進重工業支部労組委員長選挙が終わってから交渉しよう」と要求したため。また、会社側は11日夜の交渉で労組に対し、「国会環境労働委員会勧告案を受け入れるか否かだけを決めよ」と通知した。

10月14日 整理解雇問題で長期にわたる労使葛藤を経ている全国金属労働組合韓進重工業支会長選挙で、整理解雇者たちの支持を受けている候補が当選した。整理解雇者たちは国会環境労働委員会勧告案の受け入れに反対しており以後の労使交渉にどんな影響を与えるか関心が集まっている。


10月26日 会社側、「国会勧告案以外の追加議論はしない」。交渉途切れて5日目…労組は「チョ会長の真正性に疑い」。金属労組関係者は、「チョ会長が去る11日、パク委員長に会った席で『整理解雇者たちが1年以内に再就職する時、勤続年数を認め退職金と学資金にも不利益が出ないようにし、長期籠城中のキム・ジンスク全国民主労働組合総連盟釜山本部指導委員は監獄でなく病院に行くようにすることを肯定的に検討する』と話したが、イ社長が異なる意見を示している」として「チョ会長の真正性が疑われる」と話した。
11月2日 韓進重工業労使交渉チームは午後、韓進重工業釜山影島造船所新館1階会議室で再交渉。「1年以内に整理解雇者などを再雇用し、解雇期間につき労働者1人当り2000万ウォンの生計費を支援する」という先月7日の国会環境労働委員会の勧告案を巡り交渉を行う予定。対立点は、1年以内に再雇用する基準時点をいつにするか(解雇を断行した2月14日か、労使の妥結日か)。整理解雇期間を、勤続年数に入れるか否か(入れなければ月次・年次手当が新入社員並に大幅減)。退職者の退職金の再算定をするか否か(しなければ、ストライキに入った期間を含める3ヶ月平均となり、希望退職者より約9000万ウォン減)。

11月3日 チョン・テイル財団は「第19回チョン・テイル労働賞」受賞者として整理解雇に対抗し韓進重工業85号クレーンで籠城しているキム・ジンスク民主労総釜山本部指導委員とパク・ソンホ、パク・ヨンジェ、シン・ドンスン、チョン・ホンヒョン氏ら5人と、全国学習誌労組才能教育支部を選定した。

11月9日 韓進重工業労使が11ヶ月ぶりに劇的な暫定合意案に至ったが、警察の過剰対応で最終妥結のための組合員投票ができなかった。労組は10日午後2時、賛否投票を再び行う予定。
韓進重工業労使交渉チームは9日、韓進重工業釜山影島造船所内の新館会議室で
△希望退職を拒否した整理解雇者94人を合意書締結日から1年以内に再就職させる
△整理解雇者らの再就職時、整理解雇以前に勤めた期間を勤続年数として認定
△整理解雇者94人の生計費2000万ウォンを来年11月まで4回に分けて支給
△労使間の民・刑事告訴と告発および陳情は全て取り下げる
△損害賠償請求(仮差押さえを含む)の最小化
などの暫定合意案を用意した。
労使はまた別途合意書で
△希望バス関係者に対する刑事告発の取り下げ
△個人に対する損害賠償請求取り下げ
などにも暫定合意した。
しかし、警察 500人余りがクレーンを取り囲みキム・ジンスクらを逮捕するため待機。
労組員ら激怒し抗議し、合意案の賛否投票は結局できず。

11月10日 暫定合意案が労組で可決され、85号クレーンから降りてきたキム・ジンスク指導委員。「自分の足で降りて行く」という願いがかなう。一人だったけど孤独ではなかった309日。「希望のバス」は市民たちからキム・ジンスクへの恩返し。ツィッターは彼女の強力な疎通武器。85号クレーンの下で、労組・市民の歓迎集会。キム・ジンスクと俳優キム・ヨジン、泣きながら抱き合って「初めて」直接の出会い。キム・ジンスクは集会後、釜山東亜大病院に搬送。

11月11日 釜山地方警察庁は11日「キム指導委員と整理解雇労働者パク・ソンホ(49)・パク・ヨンジェ(53)氏・チョン・ホンヒョン(48)全国金属労働組合釜山梁山本部組織部長ら4人の拘束令状を12日明け方4時30分までに検察に申請する方針」と表明。

11月13日 ナム・ソンウ釜山地方裁判所判事は13日、業務妨害と建造物侵入容疑で釜山地方検察庁が請求したキム・ジンスク指導委員の拘束令状を棄却し、「キム委員は労使合意で平和的にクレーンから降り、韓進重工業側が善処を望む嘆願書を提出しており、長期にわたるクレーン籠城で悪化した健康を回復させる必要性が大きい点などを参酌した」と表明。

11月17日 検察「希望のバス」を呼びかけたソン・ギョンドン詩人に令状請求。釜山地方検察庁公安部は、建造物侵入、特殊公務執行妨害などの容疑で彼らの拘束令状を釜山地方裁判所に請求した。検察関係者は「ソン氏らが暴力デモを主導的に導いたため拘束捜査しなければならない」と話した。

11月19日 釜山地方裁判所は、キム指導委員を応援する希望のバスを提案したソン・ギョンドン(44)詩人ら2人の拘束令状を発行した。キム・ジンスク指導委員の拘束令状を棄却した裁判所が、キム指導委員を応援する希望のバスを提案した2人の拘束令状を発行したことを巡り「納得し難い」という批判が出ている。キム指導委員は建造物侵入と業務妨害など2種類の容疑で拘束令状が請求されたのに比べて、ソン詩人らは建造物侵入以外に集会および示威に関する法律違反、特殊公務執行妨害、一般交通妨害、暴力行為などの処罰に関する法律違反など容疑が5種類。